訪れるlandmark

【昔話】猫山アイス

とんとむかし 猫山という所に働き者のお百姓さんが住んでいました。

ある日のことお百姓さんは馬を洗いに川へ出かけました。

馬をピカピカに洗いあげるととても眠くなってきました。
「ふわ~ちょっと一休みするか」お百姓さんは木陰で横になりました。

その様子を草むらの陰でじーっと見ていたのが、この川に住むカッパです。

カッパはお百姓さんが寝たのを計らってヒョコッと出てきました。

カッパは馬の方へ行くなり次々と悪さを始めました。背中を滑り台にしたり 尻尾にぶら下がったり、突っついたり、くすぐったり・・・

暫くしてお腹が空いたカッパは馬の天辺に登ると辺りを見回しました。

「うひょーあるある、おいらの大好物が一杯だー」 馬からヒョイッと飛び降たカッパは畑中を駆け回りました。

畑はもう目茶苦茶です。ふと目が覚めた、お百姓さんはこれを見てびっくり。 「こっこのカッパめっ!」「まてーっ」お百姓さんは顔を真っ赤にして カッパを追いかけました。

「よくもよくもおらの大事な畑を目茶苦茶にしてくれたなー」
お百姓さんはカッパほ追い詰めると鎌を振り上げました。
「ごめんなさい。ごめんなさい。もうしませんから」
カッパは必死に謝りました。

「駄目だ!二度と悪さ出来ねえようにおまえの手を 取り上げてやる」お百姓さんはカッパの腕をスポッと切り落としてしまいました。

「ふんぎゃー」カッパは大慌てで草むらに逃げて行きました。

「ふんっ暫くこの手は預かっておくぞ」そう言ってお百姓さんはカッパの腕を 持ち帰りました。

その夜の事です。お百姓さんの家にカッパがやって来ました。

「お願いです。どうか腕を返して下さい」「何言うか。俺は腹が立ってるんだ、帰れ帰れ」 お百姓さんはピシャリと戸を閉めました。

次の日もカッパはやって来ました。
「お願いです、お願いです、どうか腕を返して下さい」

「昨日の今日でねえか。俺はまだ、気がおさまらねぇ、帰れ帰れ」 お百姓さんは首を横に振るばかり。

次の日もまたカッパはやってきました。
「お願いです、お願いです」
「駄目だ、許せねぇ帰れ帰れ」」こうしてカッパは 来る日も来る日も通ってきました。

七日目の夜。カッパは涙を流して言いました。
「どうか腕を返してください。 七日過ぎるとうちに伝わる薬が効かなくなって腕がくっつかなくなるんです。 どうか返してください。お願いです。
えーん えーん」

その必死な様子を見て流石にお百姓さんは気の毒になりました。

「もう悪さすんでねえぞ ほれ持って行け」「ありがとうございます」 するとカッパは古びた臺を差し出しました。

「許して下さった御礼にこれを 差し上げます。私の家に代々伝わる秘密の薬です。怪我をしたり骨が折れた時 七日のうちに塗ってください。直ぐに治りますから」

カッパは秘密の薬を渡すと何度も何度もお辞儀をしながら帰っていきました。

■旧宮尾家
宮尾家の伝承です。