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阿賀野市むかし話

猫の恩返し

猫の恩返し

猫の恩返し
 

とんと昔があったでが寺山に今でも建物の跡があるがね

あそこに山寺が建ってで一時は方丈様居ねんたでんどもどっから来たんだやら ほいど坊主、托鉢に来てあそごになおったでがね

毎日、黒衣のぼろぼろでがん着て托鉢に村々回ってだでがね
そうして、村上の方へ行って、猫拾で来たんでがね、それが虎猫だったんでがね

そうして、トラと言う名前つけでね、家内も居ねがったしかね、トラば大事にしてでね 「トラ来たで。」と言うと、ニャーンと言で来たでんがね、 そうして、毎日、方丈様の来る時間になっと、山から下がって待っていたでがね

方丈様、トラば楽しみにして育てで、自分の飯も減らして食せでだでんがね、 そうして、だんだん、大きょなるにしたごで、寺大門の近所の人に毎日文句言わってね

お前のトラ、ほんね、毎日、俺へどこ入って、おかず、触したの、魚、ひっぱって行ったの、 方丈様、そんげな話し聞いで、耳、痛どなったでがねいや困ったなど思で 「トラや、トラや、んなー、ほら、村下がって、悪戯ばっかしているが、俺こんげに、 かわいがって育でだども、ほんね、恩おぐった事もねば、ほんね困ったなー」ど

そう言で、言だでばニャーンと言で、首傾げで、そんま丸まこなって、方丈様の膝元へ来たでがね

「したども、今まで飼んで、捨じゃる訳にもいがねし、ほね、困ったわぇ。」とそう言でね

撫でてくってだでんども、どうも托鉢に行って来ると、村の人に苦情言わってね

あっち行っては、悪戯、こっち来ては悪戯し、そしていっこう大きょなてんがね、
そのトラが、方丈様、今日、上がって来たでば、毛艶、悪ろしてだが
「トラ、どうしたな。」と言で、背中撫でてくてだでば、ニャーンニャーンと言で方丈様の
膝の上に上がったども、いつもよか、毛艶も悪がったし、元気も無がったでがね

今まで可愛がって来たんしと思で、なんだかんだ食しぇだども食ねがったど、
あんま年いって、こーやんさね「トラやれ、今までこうやって育てだども、なんでも恩返しもしので、どこ具合悪んだやら、
このまんまんあの世ねな、行かねでな。」ど言で、背中撫でてくったでばニャーンニャーン
と言で、方丈様に言わった事分がったんこさね、あいさつ、すかんでがね
なおさら気の毒がっていだったど。

その晩、夢ざらしに、方丈様に「俺、トラだが、新発田の岩村様の御婆様が亡なって
そのお棺がそんま天の方へ巻き上げらって下りねしか、そん時、方丈様ば
頼みに来すか、そん時、行ってお経、あげてくれ、そうすっと、雲の方からお棺が
ズラッ、ズラッと下りて来すか
それが俺が恩返しだ」ど言で夢ざらし見だでがね。

おやおやと思で、やろ死んだんだがなど思で、そうーと起ぎだでば
方丈様が布団の上に丸まっこなって死んでだったでがね

やれやれ、ほんね、俺もお前の事ばっか思でやすか、あんげな夢見だんろうど思で
面白しぇ、夢見だわど思で、方丈様、あんま可哀想で沢に埋めだんだでがね

そうして、二三日経ったでば、使いが、方丈様ば、頼みに来たでがね
おやおや このこったげだわいど思で 「はいはい 今行きます」と言で、行ったども

ぼろぼろで黒衣一枚すか無んで、その衣着て歩いで行ったでが
そご行ったでは、そごらの近所の人、真っ黒なって群りついでいだども、お棺、天上に
吊るし上げらって、そんま、真っ黒な雲に巻き上げらったみたいになって
下がってこねんでがね、方丈様、多勢こど、立派な方丈様居だども下がってこねど

今度この折居の方丈様がなんと言っかど思だでば「トラや、トラや、落としてくれやーーーー」
それがお経の文句だったでがね

そして「トラや、トラや」と言でだでば、ズラズラと落って来たでがね
そうしたでば、岩村様の人、喜んで、それから折居に、その前になんて言う名前の
お寺だが分からねども、それから岩村様の人、自分の苗字くって、岩村寺と言うお寺作ってね

そのお褒めだでんで、山倉田地、四町あったでんがね
山倉田地、それがトラの働きなんでがね

いつか昔 ぶらーとさがった